物語

自作物語

桜の木の下で

        桜の木の下で


 忘れていた気持ち。忘れていた思い出。
なんで、大切なことを忘れてしまうのだろう。
それが大人になると言うこと。忙しい日常の中で、 忘れてはいけない気持ちや思い出が少しずつ薄らいでいく。
不思議とこの場所に来ると思い出す。桜の木があったこの場所。
この桜の木は、何前年も前からあるとおばあちゃんに聞いた。「 この木は私が生きているより前の出来事を知っている。 立派な樹木に大きいな葉を身にまとい春になると人々を笑顔にして くれる。  
昔、 戦争があって街が全てなくなってしまったときも変わらずこの桜の 木はここで花を咲かせてたんだって。 そして春になると人々を笑顔にいてくれた。 食べるものなく全て戦争で燃えて失ってしまって誰もが沢山の涙を 溢したけど、桜が咲くと不思議とみんな笑顔になった。。 そしてよくこの桜の木の下で、 みんな集まってワイワイしたものだ。 桜の木はそうやって沢山の人々を見守って幾度も、 いろんな時代を過ごしてきたんだ」と聞いたことがある。
確かに私が小さい頃からこの木は、当たり前のように此処にいる。 嬉しいときも悲しいときも私はこの桜の木を見てきた。 花見があるときは、 必ずこの桜の木の下で自然とみんなが集まる憩いの場所だった。

   ある日、この桜の木が斬り倒されると聞いた。 公園ができるらしい。そのために、 この大きな木は邪魔になってしまった。 伐採作業はどんどん進んでいく。その様子を見ていた、 おばあちゃんの目から涙が溢れた。「 時代の流れには逆らえないね。ありがとうね。いつも、 ここで私達を見守っていてくれて。」
さらに、おばあちゃんが言った。「この先、 生まれてくる子供達はこの桜の木のことは知らない。でも。 あんたが覚えて子供達に話してやってほしい。その頃、 私はいないかもしれないから。この桜の木が、 人々に笑顔をくれたんだって。 いつも傍で見守っていてくれていたんだっていうことを。」 まだ私が、小学校2年生の頃の話。31歳になって何で今、 思い出したんだろう。もうない、 公園のブランコに揺られながら思った。

    今ではこの公園は小さい子供の憩いの場になっている。 小さな女の子が私に近づいてきた。お姉ちゃん、遊ぼう」 私は「いいよ」と言った。今ではあの桜の木の後あった場所は、 ジャングルジムになってしまった。 私は女の子にジャングルジムで遊ぼうと言い、 その子とジャングルジムへ向かった。

  「よいしょ。よいしょ。」女の子と上まで登る。

「わぁ、高いね」 女の子が私に言った。私は女の子に「昔。 ここにはもっと高い桜の木があったんだよ。」と言うと女の子は、 興味津々に私の話しを聞いてくれた。

「 まだお姉ちゃんがあなたくらいだった頃、おばあちゃんか、 ちょうど私達が今、いるこの場所に桜の木があったの。その木は、 何前年も前からあっていろんな時代を見てきたの。 人々が悲しみでいっぱいだった時、 昔戦争があってみんな燃えてしまった時もこの木だけは燃えなかっ たんだって。
春になると美しい花を満開にさせて人々の心を癒しては、 笑顔にしてくれたんだって。桜が咲いた時、 なんもなくなっしまったこの街に幸せをくれたのよ。」
 「なんで、なくなっちゃったの?」女の子は言った。「学校でも、 友達や物とお別れするときがあるでしょ? それと同じように人も物も成長するにつれてお別れがあるの。」 私は言いった。「ずっと変わらなきゃいいのに」
「変わってしまうことはとても悲しいことだけどその分、 変わって良かったこともあるのよ。 ここのジャングルジムがなっかたら今ごろここには公園もできなか ったのよ」私は女の子に言いった。
だけど忘れないでね。今、 私達がいるここに桜の木が存在したということを。 変わってしまうことは悲しいけど、 大人になるために仕方がないことを。」 私はなんか胸が熱くなりなる思いで伝えた。
 女の子と別れ私は一人、ジャングルジムに残った。おばあちゃん、 私大切なこと思い出したよ。小さい頃、 わからなかった人との別れや物を大切にする気持ち。 大人になった今、人との別れなんて幾度も繰り返してしまって、 悲しささえ感じなくなっていたし物も壊れてしまえばまた買えばい いとさえ。そんな風に思うようになっていた。
 この桜の木の下でおばあちゃんと話した大切な話を私は思い出して いる。
ほら、春の気配が直ぐ傍まで感じる。だって、 私にはあの頃見た満開の桜が見えるから。 心の桜は今年もまた咲いているから。